川口ビルアーカイブ事業について

 

川口ビルは大阪市西区川口1丁目3番に位置し、大阪市住宅供給公社の前身である財団法人大阪市住宅協

会が昭和29年度に建設を始め、同31年4月に入居された賃貸住宅と店舗、事務所などの複合建物でした。

建物は地上5階、地下1階、総床面積7,232平方メートル、住戸数82戸、店舗46区画を有していました。

 

川口という地名は古くは戦国期(1570年ころ)から記録に見られ、江戸時代には中之島の蔵屋敷や淀川

経由の海運が盛んとなり、それらの船舶を監視する御舟手奉行が置かれるなど重要な場所となりました。

明治元年には川口に外国人居留地を設けられましたが、外国船の入港は神戸に移り、居留地の活用は教会、

病院、教育施設などの用途に転じました。第2次大戦後、大阪市が当該用地を買収し、住宅不足を解消する

ため、住宅協会の賃貸住宅として活用することとなりました。

 

建設後50年近く経過し、建物の老朽化が進んだため、平成16年4月には西側に位置していた2期住宅を建替

え、コーシャハイツ川口が完成しました。同住宅に川口ビルの住宅居住者は移転することで、川口ビルは

賃貸住宅としての用途を終えていました。その後、建物の一部を所有していた店舗や事務所を公社が買収し、

平成27年にすべての床を公社が取得しました。

 

旧建物の補強や活用などについても検討を重ねましたが、耐震性が著しく低いこと、コンクリートや設備の

経年劣化が激しいことなどのため、公社では建物の継続使用はできないと判断し、川口用地を売却すること

となりました。

 

平成28年5月には売却先が決定し、所有権移転後、売却先の事業者が建物の解体を行い、平成29年1月に

解体が完了しました。

公社では昭和の都市型住宅のモデルとして位置づけられた川口ビルの記憶をとどめるため、保有する資料を

アーカイブとして残すこととしました。

 

           資料:「川口ビルアーカイブ事業 報告書」

        (その1) (その2) (その3) (その4) (その5)

 

 

 

          平成27年                                            平成29年

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